聴覚障がい児者の聞こえについてと、補聴器を中心に研究してきました。前者の聞こえについては、聴覚障がい者の音声知覚の特徴を聴力や補聴閾値それに自己評価の観点から特徴を考察しています。補聴器については日本で販売されているほとんどすべての補聴器のデータベースをここ十数年毎年更新して公にしてきました。また、デジタル補聴器の特徴である雑音抑制機能や指向性について、防音箱や室内においてどれだけの機能が発揮できているのか、実際に音声とスピーチバブルを用いて測定し、指標を開発して定量化を行っています。
聴覚過敏については、最近、附属特別支援学校と関わるようになってからの研究テーマで、児童生徒の中に聴覚過敏に悩まされている子ども達がいることを知って始めました。聴覚過敏の存在そのものについては知られてはいるものの、その仕組みや治療についてはあまり知られていないのが現状です。
臨床的な活動としては、聴覚に障がいがある人たちが現有する聴覚を活用することを支援するために、老若男女を問わず補聴器や聴力にかかわる相談をお受けしたり、「補聴と聴覚活用を考えるサマーフォーラム」という研究会に参加したりしています。またその一方で、手話言語やろうの方とのかかわりも大切にしていきたいと思っています。